知識欲を満たす跳び箱

ゴミ箱である.覚書,備忘録とも言う.

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ヘッドホンの周波数特性を調べていたら見つけた記事.なるほど非常に面白い.例えフラットな周波数特性の音をスピーカーが出力していたとしても,マイク,つまり人間の耳にはフラットに入力されていない.フリーフィールドカーブと呼ばれる周波数特性で聞こえている.考えてみたらそれはそうという感じであるが.カーブでは,耳の周波数特性は3kHzあたりが最も感度が高い.人間の声が聞き取りやすい周波数特性となっているという.てっきりこういうのは耳から来た音を脳が勝手にわかりやすく変換しているものと思っていたが,外耳道の方で調整しているとは.視覚の方では網膜によって逆に見えている景色を脳が調整している.情報の変換効率の問題だろうか.生命活動は非常に複雑で面白い.話は戻るが,このカーブは無響室で正面から聞いたものにすぎず,実際にこれに即して調整を行うと,違和感が生じるらしい.よって様々な反響を考慮したディフューズフィールドと呼ばれる補正がいる.ヘッドホンはこれに即した周波数特性にすればよりフラットに感じることが可能になる.また,実際にはレコーディング部屋の音もフラットにでていないことが多々あるため,この補正をしたカーブに合わせても違和感が生じることがあるようだ.

ここで疑問に思ったことがある.ヘッドホンがこのような周波数特性にしなければならない理屈は理解した.しかし,スピーカーの音はフラットであることが理想とされているため,自分の耳に入る瞬間(外耳道の手前)では,空気の伝搬特性による減衰および反響による変化が起こるが,概ねフラットな音となっているのではないだろうか.対してヘッドホンは,耳に入る瞬間(外耳道の手前)からフラットでない特性となっている.うーん音の直進性の問題だろうか.ヘッドホンは外耳道でほとんど減衰しないとか?高周波なんかは直進性が低いからスピーカーで聞くと減衰しちゃうのかなぁ.正直ここは想像でしかない.音響工学の授業取りたいなぁ.うちのとこにはないけど.

とまぁ色々関心はしたので調べてみた.が,人間の普段出す声はそもそも1kHzも超えてないように見える(参考:https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10748545_po_ART0008955081.pdf?contentNo=1&alternativeNo=).甲高い声がよく聞き取りやすいことがグラフからはわかるが,なぜこのように進化したのだろうか.日常であまり聞くことがなく,なおかつ声帯がだせる限界の音とか?

それと,フリーフィールドカーブってどこ由来の研究だろう.ネットでぱっと調べても個人ブログしかヒットしない.うーん割と納得できたのでちゃんとしたソースを確認したいところ.日本語で後ろに論文ってつけて検索するだけだとでてこず....と思ってたらそれっぽいの発見.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/64/1/64_KJ00004806477/_pdf/-char/ja これの3ページ目の図3.B&K社製HATSのD−HRTFと呼ばれるダミーヘッドで測定した結果だそう.ディフーズフィールドの補正をかけたほうに似ている.情報源が見つけられて一安心である.ヘッドホンの周波数特性ではなくダミーヘッドの方で検索すべきだったかな.

この記事の最後にのってるこのヘッドホンめっちゃいいな.昔の近未来感がたまらない.